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Audiobook Times

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新潮文庫nexは「キャラミス」の宝庫だった!?

出版 ミステリ ライトノベル

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こんにちは、ヒノハラです。
最近、本読みの間で衝撃が走ったニュース、それは、
「あの新潮社がライト寄りなレーベルを立ち上げる!」
というもの。
その名も、新潮文庫nex」
新潮社といえば、名作文学などの印象が強い、伝統的な出版社です。
そんな新潮社が、アニメ調のイラストを前面に出した、“ライトノベル風”の作品を出すというのですから、これは話題にならないわけがありません!


というわけで、早速私も、刊行予定のラインナップを見てみたのですが……
そうしているうちに、あることに気づいてしまったんです!

新潮文庫nex、その驚きのラインナップとは


新潮社は、先月24日、新しい文庫レーベル新潮文庫nex』の創刊を発表しました。

公式サイトには、次のような言葉が掲げてあります。

新潮文庫の次世代ラインナップ
 創刊100年、新潮文庫だからできる
「キャラクター」と「物語」の融合。』

あの新潮社がキャラクター推し、というだけでも、これは驚きです!
そこに掲載されている作家の名前を見ると、

・『サクラダリセット』シリーズの河野裕さん
・『心霊探偵八雲』シリーズの神永学さん
・『とらドラ!』『ゴールデンタイム』シリーズの竹宮ゆゆこさん

……と、
みなさんライトノベル畑出身の方ばかりです!
(神永さんをラノベ畑というかどうかは微妙ですが)

特に注目なのは、
今後のラインナップにある、谷川流さんの文字。
そう、『涼宮ハルヒ』シリーズで一躍有名になった、あの方です!
寡作で知られる谷川さんが、このラインナップにあるとは……
否が応でも期待が高まってしまいますね!

とはいえ、この新潮文庫nex、中の人によれば、


新潮文庫nexは、ライトノベルレーベルではありません。「新潮文庫」という単一レーベルの枠組み、同じ売り場、同じ棚で、展開する作品群です!」
引用:https://twitter.com/shinchobunkonex/status/481419592800022528

……というわけで、「ライトノベルのレーベルではない」とのこと。
でも、ライトノベルではないってどういうことなのでしょう?
これも中の人の言葉によれば、

「挿絵、ある作品とない作品があります! あるいは、挿絵ではなく、章の扉にイラストが入る、とのパターンも出てきます。」
引用:https://twitter.com/shinchobunkonex/status/481610122662137856

とのことで、要は、
「アニメ調の挿絵を前面に押し出した、いわゆるライトノベルとは異なっている」
ということなのかもしれません。
とはいえ、「ライトノベルかどうか」を決めるのはあくまで読者の側。
実際のところは、発売されてみるまでわからなそうですね。

新潮文庫nexはキャラミスの宝庫!?


この新潮社文庫nex、ラノベ出身作者が大勢、
ということで、話題の陰に隠れているのですが……
実は、よく見るともうひとつ大きな特徴があることに気が付きます。

ラインナップを見てみましょう。
そこには、次に挙げるような方の名前が載っています。

坂木司似鳥鶏三上延青柳碧人、七尾与史、
相沢沙呼、知念実希人 、水生大海、森川智喜 ……

この方たちの共通点、それは、
【若手ミステリ作家】であること!
ここにいらっしゃる全員、2000年代以降にデビューされたミステリ作家なんです。


三上延さんといえば、
ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズの方。

青柳碧人さんは、
『浜村渚の計算ノート』シリーズの作者です。

似鳥鶏さんと相沢沙呼さんは、
共に東京創元社が主催するミステリの新人賞、
鮎川哲也賞】に応募してデビューされていますし、

知念実希人さんと水生大海さんも、
推理小説作家の島田荘司さんが主催する、
2008年から始まった【ばらのまち福山ミステリー文学新人賞】の受賞者です。

森川智喜さんは、
最近『スノーホワイト』(講談社/刊)という作品で、
本格ミステリ大賞】という権威ある賞を受賞して話題になりました。

しかも、ここに挙げたミステリ作家を見ていると、もうひとつの共通点に気がつきます。
それは、みんな、
「キャラクタ性を強く押し出したミステリ」を書いているということです!


三上さんの『ビブリア古書堂』シリーズや青柳碧人さんの『浜村渚』シリーズはもちろんのこと、
例えば相沢さんは女子高生マジシャンを探偵役に据えた『酉乃初』シリーズ
森川さんは最強最悪の名探偵『三途川理』シリーズ、七尾さんは『ドS刑事』シリーズ
似鳥鶏さんはドラマ化もされた『戦力外捜査官』シリーズ……と、
みなさん“キャラの強い”作品を書かれているんです。

それに加えて、ここに挙げたほとんどの方が、「高校生などの若者が主人公の作品」を書いているんですね。

……つまり、このラインナップから読み解くと、
ライトノベルだけではなくて、


【キャラミス】という裏テーマ

が見えてくるんです。

キャラミスとは、キャラクターを前面に押し出したライトなミステリのこと。
この言葉、ここ数年で少しずつ耳にするようになってきました。

最近の出版界隈では、過去に刊行された名作ミステリを、アニメ調の表紙にし、
キャラクターを前面に押し出して再び盛り上げようという動きが高まっています。
例えば、KADOKAWA角川書店は、エラリー・クイーンシャーロック・ホームズといった名作をアニメ調の表紙で出していますし、
綾辻行人さんや有栖川有栖さん、麻耶雄嵩さんといった、著名なミステリ作家の作品が、どんどんキャラクタメインの表紙で再刊されているのです。
(有栖川さんのこの本や、麻耶雄嵩さんのこの本など……興味のある方は元の表紙も検索してみてください!)

新潮文庫nexの「キャラミス作家推し」も、この流れから見ると納得がいきます。


これまで、明確に「キャラミス」を前面に押し出したレーベルはありませんでしたが、
新潮文庫nexは、「キャラミス」ブームを一躍盛り上げてくれるかもしれません。

おわりに


この新潮文庫nex、刊行開始は、8月28日です。
若者をターゲットにしているようなコンセプトなのに、
夏休みも終わりになって刊行開始なのは一体なぜ??
……と、気になってしまいますが。
新潮文庫nex公式サイトでは、年間50点刊行を宣言しています。
気合の入りようが尋常ではないのは確かなようです。
また、今年の楽しみが一つ増えましたね。
このレーベルから、優れたキャラミスが生まれることを期待しつつ、楽しみに待ちましょう。

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この記事のライター
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ヒノハラ
ミステリとペンギンが好きな人。
オススメの“キャラミス”は、美少女名探偵が活躍する西澤保彦さんの『チョーモンイン』シリーズ。。
 
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担当者 佐伯