こんにちは。ジンです。
先日、『天地明察』などでもお馴染み、
小説家・冲方丁さんのインタビュー記事を読んでいたところ、
「愛読書は、辞書」
という言葉が目にとまりました。
「読みもの」としての辞書
冲方さんはお父さんの仕事の都合で
10歳から14歳までネパールで過ごしたことがきっかけで、
ポケットサイズの『デイリーコンサイス英和・和英辞典』を
つねに持ち歩くようになったそうです。
当時を振り返って
「想像力の訓練にもなっていたんですよ。
最初は機能重視で『辞書を引く』やり方だったのが、
どんどん『辞書を読む』ようになっていったんですね。
ぱらっとめくったページを端から端まで読んでいって、
『この言葉から、この言葉が生まれたんじゃないか?』
っていう言葉の出生を想像して面白がってみたり」
(『野性時代』2012年4月号でのインタビューより)
と語っています。
以前、村上春樹氏さんがインタビューか何かで
「自分のなかの『地下室』に降りていって初めて、作品が書ける」
と発言していましたが、
この表現になぞらえれば、
冲方少年は辞書を読むということを通じて「地下室への入り方」を
体得していったんじゃないか、なんてことを思いました。
つくる人=過剰な人?
ところで、今回の記事の主役がなぜ冲方丁さんなのかというと、
私も制作に関わっているPodcast番組『上田渉のこの人が面白い!』に
ゲストとしてお迎えしたからです。
先日まで劇場公開されていた
『攻殻機動隊ARISE』の脚本を手がけられたということで
この作品についてのお話もたくさんしていただいたのですが、
個人的に印象に残ったのは、
「冲方さんと言葉との関係性」
が見てとれる、こんなエピソードでした。
「高校時代、なぜか自分はどんどん
“文章”へ引き寄せられていきました。
当時、美術部だったんですけど、
自分がこれから描こうとしている絵についての
説明文ばかり書いてしまっている自分に気づいたりして(笑)」
小説家にかぎらず、ものをつくることを生業にしている人には
良い意味で、何かしら「過剰性」が見受けられるような気がします。
上記のエピソード以外にも、今回はまさに
冲方さんの「過剰性」をふんだんに聴けた収録でしたので、
ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
ここ数ヶ月でショックだった出来事は、三谷幸喜と清水ミチコのラジオ番組『MAKING SENSE』が終わってしまったこと。おもに音声コンテンツまわりの記事を担当。