出版・コンテンツ関係者に朗報!ビジネス拡大の鍵は「国際化」「デジタル化」

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こんにちは、広報のナカガワです。

オーディオブックの今後について日々妄想を膨らませている私。
そんな私がずっと楽しみにしていたイベントが6月2日にありました!

そのイベントとは、日本書籍出版協会さんが主催する
「フランクフルト・ブックフェア J ・ボース総裁講演会」。

なんと、
世界最大の書籍の見本市「フランクフルト・ブックフェア」の総裁
ドイツでNo.1のオーディオブック出版社の執行役員
の方から、
世界の出版事情やオーディオブック事情が聞ける
またとないチャンス!
(ありがとうございます、書協さん!)

日本の出版やコンテンツ業界にとってもヒントを得られるはず!
ということで、早速潜入レポートをお届けしたいと思います(*´∀`*)

まず、注目度の高さにびっくり

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当日会場である日本出版クラブ会館に足を運ぶと、
会場はすでにすごい熱気。
最前列にはオーディオブックでもお世話になっている
ディスカヴァー・トゥエンティワンの干場社長の姿も!

日本にいると海外の出版事情に直に触れる機会はなかなかないので、
やはりこうした場に注目が集まっているんだなということを実感しました。

資料はすべて英語、プレゼンも英語

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当然と言えば当然かもしれませんが、
配布資料はすべて英語。

もしかしてドイツ語なのでは・・・と思っていたのですが、
まだ英語だったのでよかったです。はい。

とはいえ英語に触れる機会が最近ほとんどなかったので、
単語の羅列を見るだけで胸の高鳴りを覚える情けない私。。

プレゼンも英語だったのですが、幸い同時通訳の方がきちんと
わかりやすくお話してくださったのでこっそり胸をなでおろしました。

最新動向がいち早くわかる、世界最大の出版イベント

さて。
まずはフランクフルト・ブックフェアのユルゲン・ボース総裁による、
「国際出版の現場に立って」というテーマでのお話。
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「フランクフルト・ブックフェア」という
言葉自体も馴染みがないかもしれませんが、これは
年に一度の開催で30万人を集める、世界最大の書籍の見本市です。

毎年10月に、ドイツのフランクフルトで実施されており、
出版社や著者が書籍の発売発表を行うほか、
100カ国以上から約7300もの展示業者が訪れ、
版権の交渉をする場としても注目されています。

ボース氏は、
600年以上の歴史を持つ「フランクフルト・ブックフェア」の
ミッション・ステートメントとして、次の3つの要素を挙げていました。

1.フランクフルト・ブックフェアの開催、運営を行うこと
2.ドイツの文化を世界的に普及させていくということ
3.世界的に出版という事業をサポートしていくこと

こうした理念のもと、ニューヨークやニューデリー、
ブラジル、ロシア、北京などに拠点を持ち、
各国で講演会やカンファレンスを行ったり、
ブックフェア同士の国際化を図ったりという活動を行っているようです。

日本でも毎年東京国際ブックフェアが開催されていますが、
参加国が約25カ国なので、参加国だけで見ても規模は4倍。
最新の国際的な出版動向を把握するのに
これ以上の場所はないでしょう。

こうした国際性を持つ世界最大のイベント運営者が直接見てきた、
世界的な出版業界の潮流とはどのようなものなのでしょうか。

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世界で起きている「いまほしい、全部ほしい」の流れ

ボース氏は、世界で起きている大きな潮流として、
5つの視点を紹介していました。

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1. 迅速な消費
2. コンテンツのあらゆる側面からの活用
3. 教育が鍵となる
4. 国際的なブランドづくりと地域に根差したコンテンツづくり
5. 出版におけるアジアの時代が到来

スマートフォンをはじめとするモバイル端末の普及によって、世界的に
「いまほしい、全部ほしい」
という消費者のニーズが強まっているとのこと。

そのためボース氏は、
国際的な権利のやり取りのスピードを最大限上げるべきだと主張します。

また、コンテンツをあらゆる側面から活用するための一環で、
ブックフェアやカンヌ国際映画祭などで行われている、
Breakfast&Books」という取り組みを紹介。

これは映画のプロデューサーを招き、彼らに対して
出版業者の方からコンテンツを売り込むというピッチイベントで、
だいたい統計的に、50件のピッチのうち20%くらいに対して、
この作品を使いたい、という反応が得られるとのこと。

ちなみに、毎年ここでプレゼンされた書籍のうち2作品ぐらいが
実際の映画化にこぎつけることができるのだとか!
チャンスは自ら掴みに行くことが大切なんですね。

さらにボース氏は、
アジアは特に教育の重要性が十分に理解されているため、
コンテンツを提供する出版業界にとって、
「教育」には大きなビジネスチャンスが眠っていると語ります。

講演の最後は、
「出版業界だけでなくメディア業界すべてに言えることですが、
お互いの関係性をもっと密にしていきましょう」
という言葉で締めくくられました。

未来を先取りする出版社・バスタイルーべ社の取り組み

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先のボース総裁のお話の中で、
「コンテンツのあらゆる側面からの活用」を
完璧に実践していると言わしめたバスタイルーべ(Bastei Lübbe)社。
続いてはその執行役員のフェリクス・ルドルフ氏が、
同社の具体的な取り組みを紹介してくださいました。

バスタイルーベ社は、1953年に設立されたドイツの出版社。
1969年にはオーディオブック部門を立ち上げ、
現在は独オーディオブックの中で60%のシェアを取っています。

今現在ではドイツの独立系出版社の中で最大手になっていますが、
当初からオーナーは大手と対抗して競争力を上げていく考えでした。
なぜこのようなことができたかというと、
家族経営だったため、自由に、迅速に新しい展開ができる
という社内の文化があったと言います。

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彼の言葉の中で印象深かったのが、
日本も同様の段階に来ていると思うが、という前置きのもと語られた、

「出版において物理的に成長するには限界が来ていて、これから収益を伸ばすために必要なのは「国際化」と「デジタル化」である」

というもの。

彼らは2010年にはデジタル部門を立ち上げ、
創設して以来、販売だけでなく開発・制作も行っています。
また、2013年にフランクフルト証券取引所に上場し
調達した資金をデジタル事業、国際事業に分割して投資をしたほか、
アニメ制作会社を買収したり、ゲーム会社への資本参加を行ったりと、
戦略的に事業を拡大させているとのことでした。

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おわりに

世界の出版事情に最先端で触れている方々のお話を聞いたのですが、
やはりこれからの出版やコンテンツビジネスの鍵は
「国際化」「デジタル化」「多面的展開」でしょう。

また、2010年は日本で電子書籍元年と呼ばれた年ですが、
バスタイルーべ社もデジタル部門の立ち上げが2010年だったので、
そう考えると世界的に見ても日本の取り組みは先進的と言えそうです。
こうした日本の取り組みを、もっともっと世界に発信していくことが、
世界的な出版業界の発展にもつながるのではと、とても希望が持てました。

そうそう、余談ですが、今回驚いたことが。
なんとフランクフルト・ブックフェアの副総裁のホランド氏が
弊社のことを元々知っていたようで「ぜひ改めてお話しましょう」
と会長の上田とのランチミーティングが実現したんです!
日本でほぼ唯一のオーディオブック出版社として活動している我が社の存在が
はるかドイツでも知られていることは、非常に嬉しいことでした。

世界の出版やコンテンツ関係者と連携して、
お互いの独自の文化を交換していく・・・
そんな未来をつくれるように頑張っていきたいですね!

この記事のライター
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ナカガワ
FeBeの広報を担当しています。
オーディオブックとカレーという単語に敏感に反応します。
「萌え 広報」で検索するとトップに出てくるのはここだけの秘密。

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