コミケの季節なので、同人誌と著作権法についてまとめてみた

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こんにちは。ヨネツキです。

夏ですね。・・・ということは、コミケですね


同人作家の方は、完成にむけて最後の追い込み中でしょうか。
他方、ビッグサイトへ「狩り」に行かれる方は、当日スピーディーに多くのブースをまわれるよう、軍資金をすべて千円札に両替してる頃でしょうか。

ところで、コミケといえば忘れてはいけないのは、著作権の話で・・・



ご存じの方も多いと思いますが、コミケの同人誌には、法律的にアカンものもあります。著作権法は、同人誌やパロディ表現にやさしくないのです。


では、なぜ同人誌は生き残っているのか。そして、法律に頼れない状況で、コミケを違法にしないためのアイデアはあるのか。今日はそのあたりをまとめてみます。なお、今回は大長編ドラえもん並に長文なので、覚悟のうえでご覧ください。




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グリザイアの果実ボイスドラマ “フラクタルでドン、年越しスペシャル”
castはもちろん田中涼子、水橋かおり、清水愛



1.多くの同人誌はどうして違法なのか?


コミケについて、著作権法の大家の先生からは、「猥褻と著作権侵害の巣窟なんですね(笑)」などと言われる有様。【注1】


はて、同人誌は、どう違法なんでしょうか。


わざわざ解説するのは野暮ですし、コミケの平和を望む方からは「お前、いらんことを言うな。そっとしといてくれ」と怒られそうですが・・・後の説明にも関係するので、すみません、最初にふれておきます(詳しい方は、この章は飛ばしてください)。


ひとくちに同人誌といってもいろいろです。
コミケの中には、文学作品を批評する同人誌とか、鉄ヲタの方が地方鉄道の魅力を語る冊子のように、法律的に(おそらく)問題ないものもたくさんあります。



ただ、みなさんの同人誌のイメージを合わせるために、ここでは「腐女子」ものの「やおい」同人誌を想定してみましょう。

要するに、既存の少年マンガの登場人物たちを元ネタにした、二次創作マンガです。髪の毛が赤かったり青かったりする細身のイケメンたちが、男の子同士で、あんなことこんなことをします。本来なら、彼らはバスケや水泳に取り組んでいるはずですが。


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さて、同人作家Bさん(BLのBです)が、元ネタのマンガによく似せたキャラを描いたとしましょう。すると、元のマンガの作者Aさんは、Bさんに対して、「販売するな!」といえます。

なぜなら、Aさんは、原画について①翻案(ほんあん)権と、②同一性保持権という権利をもっていて、販売を止める力があるからです。


(1) 翻案権

「翻案権」とは、著作権の種類の1つ。

むずかしい言葉ですが、ざっくり、「原画のアレンジ権」ぐらいに思ってください。Aさんは「オレの描いた原画をアレンジできるのはオレだけ。よって他人が無断でアレンジしたら、オレは止めることができる」のです。

Bさんは今回、読者にキャラの特徴が伝わって、そのキャラだとわかってもらえるようにアレンジして描いてます。なので、Aさんの翻案権を害して違法になってしまうのです。解決するには、Aさんから許諾をもらわなければいけません。



(2) 同一性保持権

もうひとつの「同一性保持権」とは、著作権とは別モノの「著作者人格権」の1つ。
ざっくりいうと、Aさんは「原画をオレの意にそわないように描き変えないでほしい。もし描き変えたら、オレは止めることができる」のです。

Bさんは、元ネタのキャラを描き変えて、時には目も当てられないような○△*%×□なことをさせてるハズなので、Aさんの意にそわない場合もありそうです(笑)


そして、繰りかえしますが、同一性保持権は、(1)の翻案権とは別モノ。
なので、事前にAさんから(1)の翻案権についてOKをもらっていたとしても、場合によっては、「いや、まさかそいつとそいつをカップリングするとは・・・そこまでやられると、さすがにオレは許さん」となって、(2)の同一性保持権でアウトということも(理屈としては)ありえます。



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そんなわけで、コミケに並んでいる同人誌には、(1)翻案権や(2)同一性保持権を害して、違法になる場合が多いのです。


(なお、猥褻の話や、親告罪の話も大事なのですが、なんせ今回の記事は大長編なので、そのへんは泣く泣く全カットします)


【注1】 東大名誉教授の中山信弘氏が、角川歴彦氏と対談したときの発言。『グーグル、アップルに負けない著作権法』214pより




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「ドラマCD ぼく、オタリーマン」
castは宮野真守、釘宮理恵、坂東尚樹、井口裕香ほか




2.パロディを守る法律はなぜできなかったのか?


ただ、法律がこの状態だとあまりに堅苦しいですよね。
そこで文化庁では、著作権法に「パロディ表現を守る条文」を入れようという動きがありました。

その過程に、どうもコミケを意識しているおもしろい部分があるので、ご紹介しましょう。


時間をさかのぼると、2012年頃から、パロディの取扱いについて会議がはじまりました(文化審議会著作権分科会法制問題小委員会)。
そして、この会議、当初からコミケを想定してます


たとえばメンバーのお一人である上野達弘教授は、会議の当初に出された資料で、「いわゆるコミックマーケットにおいて販売されている同人誌」を引き合いに出して議論されていました。【注2】


実は、上野教授は、自ら「オタク著作権法学者」と称されたこともある先生 【注3】。なので、ひょっとしたら、コミケが著作権法を変えるのか・・・!?と浮き足立ってしまったのですが、結局そうはなりませんでした。。。



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2013年3月に出された会議の結論は、「現時点では、パロディに関する条文はつくりません」というものでした。残念。
ただ、その理由がなかなか奮ってます。報告書から、ちょっと引用してみましょう。



「(日本のパロディ作品には)批判・風刺等の目的ではなく、原作品への愛着・敬意の表現を目的としてそれを模倣ないし補完的な著作を行うものや、新たな創作を目的として原作品の一部を単に中立的に利用したにすぎない作品など、二次創作を広くパロディに含める考え方も存する。」




「(新しい条文を作った場合には、)新たな表現や創作の可能性が広がり得るという積極的な効果よりも、そのような法制化がある種の「線引き」となり、これまでの業界慣行等により形成された土壌を壊すことになりかねず、(…)新たな創作に対する消極的な効果をもたらすものではないかとの…懸念(がある)」 【注4】





おわかりでしょうか。

固い言葉づかいですが、これ・・・読めば読むほど、コミケですね
私なりにざっくり要約してみますと、


・ふつうパロディといえば批判や風刺を思い浮かべるけど、コミケの同人誌は、そういうものとは異なるタイプの二次創作だよね。

・そして、今まではコミケはそっと放置されてたけど、下手に『ある種のパロディはOK』なんて条文を作っちゃうと、許されるパロディと許されないパロディの線引きが起こってしまって、コミケの平和な風土を壊すことになるかも。

・だから条文はつくりません


と読めます。



なるほど。たしかに、法律をつくる側からしますと、いま法律をつくっても目の前の誰かをすぐに救えるわけでもない。かえって、コミケの平和を崩したりしたら、猛者の方々からはひどく恨まれてしまう。

すると、「今うまくいってるのなら、別にわざわざ法律つくらなくてもいいや」という判断になったのかもしれません。



【注2】 「海外における著作物のパロディの取扱いに関する調査研究 報告書」103p
【注3】 「コピライト」560号の講演録「著作権法における権利制限規定の再検討 ―日本版フェア・ユースの可能性―」14pより(この審議会資料でも読めます。前後の文脈からすると、著作権法のオタクという意味のようですが)
【注4】 「パロディワーキングチーム 報告書」28pより




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「女子大生会計士の事件簿<前編>」
ナレーターは戸松遥、新垣樽助 ほか



3 なぜコミケは今も続けられるのか?


さて、「今うまくいってる」と書きましたが、法律が守ってくれないにもかかわらず、コミケではなぜうまく続いているのでしょう?


この現象は、海外の研究者からも、不思議に思われてるようです。

たとえば、アメリカの著作権法の大家、ローレンス・レッシグ教授
2003年頃にはコミケに興味津々だったそうですが、そんなレッシグ教授も、権利者サイドの「自由放任反応(this laissez faire response)を生み出しているメカニズムがはっきりしない」と不思議がられています。


ちなみにレッシグ教授にとって納得しやすかった理由は、「日本には弁護士が十分におらず、訴訟するだけの余裕がない」というもの。【注5】
うーむ。。。身もふたもない。


しかし、以前アップした出版権の記事で書きましたが、ネットにアップされたふつうの海賊版マンガの場合には、出版社サイドもしっかり削除請求してるわけです。なので、理由は人的リソース不足だけじゃない気がしますね。
より大きな理由として挙げられるのは、「黙認」でしょう。



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たとえば出版業界を代表する経営者の1人、角川歴彦氏はこう述べられています。

「コミケの場合は、「お目こぼし」が非常にうまくいっている例ですね。日本にとって誇れるものだと思います。日本人には、建て前と本音を使い分けられる良さがあるというべきでしょうか。」【注6】



なるほど。角川氏は、コミケを肯定的に評価され、「お目こぼし」のスタンスを取られているようです。


よく言われるように、同人作家さんはある意味で、原作の最大のファン。
同人活動を取り締まるのは、長い目でみると原作者サイドの首を絞めることになりかねません。なので、「黙認」は経済合理的なスタンスでもあるわけです。




ただ、経済ついでにいうと、あまりにすさまじい売上をあげる同人に対しては、出版社サイドもスタンスを変えるかもしれませんね。

そのへんのバランス感覚としては、最近話題になったニトロプラスの宣言文の、次の部分が参考になりそうです。


「取引実態に即し、包括的に判断した上で、概ね過度な営利性がないものと判断しうるような事例については従来どおり、その活動についてファン活動の範囲内の行為として許容させていただければと思っております。」(太字は筆者)





【注5】 引用はローレンス・レッシグ著、山形浩生・守岡桜訳『FREE CULTURE』42pより。太字は筆者。
【注6】 『グーグル、アップルに負けない著作権法』215pより




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舞踏会と身代わりシンデレラ
スーザンとクラウディオの身分違いの恋の行方は……



4.法律にたよらずに解決する方法は?


さて、最初に宣言したとおりの長文でお届けしてますが、大丈夫でしょうか・・・。
実はこれでもまだ、折り返し地点なのですが、、、コミケの行列に慣れたみなさんならきっと大丈夫ですよね(?)


大長編ドラえもんで例えると、ようやく異世界でジャイアンあたりがトラブりはじめた頃です。
ここからが面白いので、もうしばらくお付き合いください・・・。



さて、以上に述べたように、「黙認」されてメデタシなのですが、「違法なのに放置」というのも、それはそれで居心地が悪いかもしれません。

しかし、著作権法は優しくない。なので、コミケを適法にしようと思ったら、法律まかせにせず、自分たちで何とかする必要があります。生存戦略か


すでに識者の方が練られたプランがありますので、参考までご紹介しておきましょう。
(1)すぐできるプランと、(2)時間のかかりそうな大きなビジネスプランの、2つです。


(1)同人マーク

まず1つ目。
そもそも問題なのは、多くの漫画家さんが、「同人誌に対してどういうスタンスなのかよくわからない」ことです。
(【8/8追記】 中には、『ブラックジャックによろしく』の佐藤秀峰氏が二次利用をフリー化されたケースや、最近では『天地明察』の冲方丁氏が二次創作を全面解禁されたケースもありますが、こういった例はまだ少数です。)


コミケにやさしい漫画家さん、作家さんとしては、自分のスタンスをかんたんに表明できる手段があれば手っ取り早いですよね。

そこで2013年の8月頃に出てきたのが、漫画家の赤松健氏による「同人マーク」です。

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左側にペン先、右側に「OK」の文字。
これは、「自分の描いた原作について、二次創作の同人誌をつくってコミケで売ることをOKした」という意思表示のマークです。

似たようなマークとして、「クリエイティヴ・コモンズ」が有名ですが、あちらには「複製NG、改変OK」という同人誌むけのマークはないですね。そこで、同人誌バージョンのマークが作られたようです。



公式サイトの説明から、このマークのポイントだけまとめると、


・二次創作同人誌をつくって、有償であれ無償であれ、同人誌即売会で売ってOK
・ネット配信などの、デジタルデータでの配布はNG
・コピー・トレスもNG
となります。


実際、赤松氏も自作で使われているとのことなので、私、コンビニで「週刊少年マガジン」を買ってきました。マガジン買ったの何年ぶりでしょうか(笑)
たしかに、赤松氏の最新作「UQ HOLDER!」には同人マークがついてました。



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・・・余談ですが、この「UQ HOLDER! 44話」(8月13日号所収)では、登場人物たちが、「規則ではない/慣習だよ」とか、「差別ではなく区別!」など、なんとなく法律業界の人っぽい会話をしてるのが、とても気になります。他の回も読んでみましょうか。



・・・はて、マガジン買ってきたせいで何の話かよくわからなくなってきましたが、話を戻すと、この「同人マーク」の使用例はまだ少ないようです(開始1年間で3件ほど。)
(【8/8追記】 この記事のアップ後に、株式会社ディー・エヌ・エーのプロジェクト「ハッカドール」がスタート。公式サイトの最下部にある同人マークが話題になっています。)


マンガ家さんからすると、出版社サイドが黙認状況にあるなかで、あえて意思表明をするのはいろいろ難しいのかもしれません。


ただ、赤松氏自身は、将来のTPP対策としてこのマークを作られたようで、「全く普及活動は行っておりません。実験段階です」(下記2014年7月4日付ツイート)とも述べられてますね。


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(2)映像版JASRAC構想と、コミケマネー

2つ目は、もっと大きなビジネススキームです。


仮に、同人マークをつけていない漫画家さんから、堂々と許諾をとることを考えてみましょう。
多くの同人作家の方は、契約には不慣れでしょうし、個々にやってると時間も費用もかかります。また、うまく許諾してもらえるとも限りません。「だが断る」と言われたら終了ですよね。


そこで、社会評論家の岡田斗司夫氏は、許諾の一括化のため、「映像版のJASRAC(ジャスラック)と、コミケマネーを作る」というアイデアを出されています。

まずは、岡田氏による巧みなプレゼンが何よりわかりやすいので、ご覧ください。









動画を見れない方のために、岡田氏のプランをかんたんにまとめておきますと・・・


・コミケ専用の「通貨」をつくる。
・来客は、1000円払って900円分の通貨を買う。運営側は、残りの100円分を「供託金」にする。
・50万人の来客が、1人平均1万円払うとしたら、合計50億円!供託金は5億円にのぼる。
・供託金のうちの半分、2億5000万円は、元ネタの漫画家に配分する。
・残り2億5000万円は、システムの維持費や、著作権法を改正するための活動に使う。





うーん・・・ものすごいスキームですね。
岡田氏は、以前からこのスキームを唱えられてますし【注7】、先ほどあげた赤松氏も似たスキームを提唱されていました(下記2014年7月4日付ツイートを参照)。


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1つ気になる点があるとすれば、このスキームは現状の「黙認」による自由な状態から、ガチガチの管理体制に変えてしまうものなので、「本気でこれをやるインセンティヴがある人は、誰なんだろう?」ということですね。


ちょうど岡田氏がJASRACの名を挙げられたので、歴史を振り返ってみますと・・・そもそもJASRACが作られた経緯には、ある種の外圧がありました。そう、いわゆる「プラーゲ旋風」です。


1930年頃の日本では、著作権の意識が低かったようで、許諾のないままヨーロッパの楽曲を演奏したり、放送したりしてました。
ヨーロッパの著作権管理団体はそこに目をつけて、ウィルヘルム・プラーゲさんという日本語ペラペラの法学博士に、日本で著作権を徴収するよう依頼。プラーゲ博士は巷の演奏家や、NHKなどにガンガン使用料を請求したのでした。宇宙の 法則が 乱れる!


これに驚いた日本は、あわてて法律をつくったり、JASRACの前進にあたる団体を立ち上げて徴収権限を与えたりして、プラーゲさんを締め出したといわれてます。【注8】



さて・・・もし歴史が繰り返すなら・・・たとえば、現代のプラーゲさんにあたる人物が空気を読まずにコミケに現れて、許諾の対価を請求しまくるという状況は、はたしてありえるでしょうか。


なんだか、「バルス!」をとなえた後のラピュタ城なみの混乱が予想できますが、こんな「コミケ版・プラーゲ旋風」が起こった日には、岡田氏や赤松氏のスキームが切実に求められるようになるかもしれませんね・・・



【注7】 弁護士の福井健策氏との共著『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』146p(このサイトでも読めます)
【注8】 大家重夫『改訂版  ニッポン著作権物語』など参照。ちなみにこの本に載ってるプラーゲ博士の写真は、ものすごい邪悪な人相なのでした。




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海を眺めるプリンセス
リストラにあい、意欲もわかず、海の見える公園のベンチで、毎日を過ごしていた主人公は・・・



5.そもそもなぜ同人誌は保護されるべきなのか?


・・・ずいぶん長くなりましたが、もうちょっとだけ続くんじゃ


昔の大長編ドラえもんでいうと、そろそろ武田鉄矢さんの曲が流れてくる頃でしょうか。


コミケを適法にするアイデアをご紹介してきましたが、そこでふと気になるのは、「なぜ多くの人は、コミケの同人誌を救おうと思うのか? その理由は何なのか?」です。


たとえば、ある人気マンガがあって、別のマンガ家さんがスピンオフ作品を公式につくるときは、当然許諾をもらって、一定のお金を払って、進めます。
この構造は、同人誌でも同じはずです。


ならば、なぜ同人誌は(ある意味で)優遇されているのか?



同人誌は「パロディ」の一種だから、守られるべきなのでしょうか??

たとえばフランスでは、パロディは高い芸術的評価を受けています。パロディ表現は、フランス革命の政治闘争などで役立ったことから尊重され、ときには神や聖職者を相手にした、ラディカルな批判の権利すら許されているそうです。【注9】


でも日本には、こういうパロディの歴史的沿革はないですよね。
そもそも多くの同人誌では、批判や風刺の要素はあまりないので、パロディとは違ってきます。


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・・・ドラクロワの絵、いいですねえ。

それはともかく、ひとまず思いつくままに、「コミケの同人誌を守るべき論拠」を挙げて、反対仮説も出してみますか【注10】



1:アマチュアのクリエイターは、自己表現のために他人の作品が必要だから、許すべき?【注11】

→ でもコミケには、プロ級の方もいるでしょう。



2:1人1人がそれほど儲けていないから?

→ でも1回のコミケで、数千万円の売上をあげる方もいるそうです。【注12】



3:限られた時間に、限られた場所だけで販売されるものだから?

→ でも、コミケ以外に秋葉原や池袋、インターネットで販売される方もいそうです。



4:原作への愛があるから?

→ しかし、原作者の意に反するほどの○△*%&;□なカップリングの場合は・・・?



5:二次創作は、原作を別の角度から見せるなどの大事な意義があって、著作権法が目的としている、文化の発展にとって重要だから?

→ ふつうに考えるとこれがいちばん重要でしょうか。
でも、同人誌の中にはなかなかえげつないものもあって、なかには「うーん、誰かの性的なファンタジーは満足させるだろうけど、・・え? 文化の発展?」といいたくなる作品もありますよね。





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・・・というわけで、1つ1つの論拠には弱点があって、決定打とはいえないかもしれません。そもそも、ぜんぜん定量化もできてない仮説ですし。あと、そもそも「文化の発展」っていったい何なんでしょうね


ただ、あえてコミケという、1つの巨大なパッケージとしてみると、「いくつかの例外には目をつぶってでも、多くのアマチュアクリエイターの表現を保護すべき」という判断が優先するのかなあとも思います。


あとは、出版社サイドからみると、「次の、あたらしい才能の発掘」に役立つという実益もあるのでしょうね。そして、忘れちゃいけない「企業ブース」での共存共栄も。



【注9】 「海外における著作物のパロディの取扱いに関する調査研究 報告書」47pより(執筆は駒田泰士教授)
【注10】 サリル・メーラ(Salil Mehra)教授が10年以上前に発表された、コミケ分析の論文「Copyright and Comics in Japan: Does Law Explain Why All the Cartoons My Kid Watches are Japanese Imports?」も参照しています。川島武宜教授の議論から、ピカチュウの同人誌にまで言及するこの論文、どなたか翻訳されませんか?
【注11】 これはヒップホップ音楽の「サンプリング」にもいえる問題ですね。なお本記事には、先日行われた「リミックス映画祭2014」ディスカッションでの、福井健策弁護士のコメントを参考にさせていただいた箇所があります。
【注12】 福井健策『「ネットの自由」vs.著作権』45pより




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大山のぶ代:朗読 「放浪記」オーディオブック




6.終わりに


というわけで、大長編もおわりです。
めでたしめでたし。もう長すぎて何がなんだかわかりませんが
そして、コミケの猛者の方が読んだら、ここまでの話はツッコミどころばかりかもしれませんが。。。


なのでラストは投げやりです。正直、「お目こぼし」でもビジネススキームでもこの際何でもいいので、今回の夏コミ(C86)も平和にやってください。


さきほど外圧の話をしましたが、法律以外にも外圧はありえますし、そちらのほうが重要かもしれません。
つまり、あまりにも暑く、過酷な環境すぎて死人が出てしまい、次の開催に支障がでることとか。。。


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私、去年の夏コミ(C84)のときは、弁護士の方が書かれた判例パロディ本を買いに行ったのですが(最近は、そんなものまで売ってるのです)、当日は高度な情報戦に振り回されて、炎天下の巨大駐車場で並ばされる羽目になりました。キツかった・・・。ギリギリで買えてよかったものの、正直、命の危険を感じましたよ。


本記事を読んで、万が一、「コミケって面白そうだなあ。お盆はヒマだし、行ってみようかな」とお考えのライトユーザーのあなた。くれぐれも脱水症状にはお気をつけください


私は残念ながら、今回のC86には行けませんが、同人作家の方や、「狩り」に行かれる猛者の方々は、どうか死なない程度にコミケを楽しんできてくださいね!




今回の記事もお役に立てましたでしょうか。

それではまた。




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ENGLISH(1)
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年下上司と秘密の雨宿り
大雨に降られ、コンビニの屋根の下で雨宿りをする主人公のもとに…




この記事のライター
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ヨネツキ
六法をめくったり、契約書をいじったりする人。
法律ネタの記事など担当。
そういえば、ピングドラムの続編はあるんでしょうか?


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担当者 佐伯