憲法記念日に、「出版の自由」を考える

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5月3日は憲法記念日ですね。

この機会に、オーディオブックにも関係の深い、憲法の「出版の自由」について考えてみたいと思います。
いつもより長くてカタい話題ですが・・・しばしお付き合いください。




1.今の憲法の、「出版の自由」

あなたは、憲法の条文をじっくり読んだことはありますか?
日本国憲法の21条1項をみると、こう書かれています。

「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」

しっかり「出版の自由」が明記されてますね。
ところで、ここでいう「出版の自由」とは何でしょう? 何をもって「自由だ!」といえるのでしょうか?
あらためて「自由」の意味を考えるためには、昔の「不自由」だった時代を振りかえってみるのがよさそうです。



2.戦前の憲法の、「出版の自由」??
というわけで、戦前の憲法をみてみましょう。
大日本帝国憲法の29条には、こう書かれてます。

「日本臣民は、法律の範囲内において、言論・著作・印行・集会及び結社の自由を有す」

「印行(いんこう)」という単語は聞きなれませんが、印刷して発行すること、今でいう出版ですね。
ということは、「印行の…自由を有す」とありますし、当時も今と同じように、出版の自由があったのでしょうか?

・・・ところが、そうではないのです。
実は、途中にサラッと書かれている「法律の範囲内において」の10文字が、ものすごくクセモノなのです。



3.戦前に、出版の自由を縛っていた「法律」
結論からいうと、当時の憲法では、完全な自由は認められていませんでした。
あくまで、「法律の範囲内において」の自由。つまり、国が「法律」で決めた範囲の中の自由にすぎなかったのです。
ウラをかえせば、国が別につくりあげた「法律」には縛られてしまいます。

実際、戦前には、「出版法」や、「新聞紙法」という法律があって、

「こんな内容の本を出版してはいけない!」
「国は、出版物の中身をチェックして、発行を止められる!」

などと定められていました。
そのせいで、検閲をうけた出版社が、内容を差し替えて出版せざるをえないケースもあったそうです。
あなたがお持ちの本やオーディオブックの中にも、戦前であれば発行できないものも沢山あるかもしれませんね・・・



4.ふたたび今の憲法の話
戦前への反省をふまえて、いまの憲法には、「法律の範囲内において」というフレーズは入っていません。
憲法も細かく見ていくと、いろんな発見がありますね。
さらに、つづく21条2項には、

「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」

という念押しの条文が置かれていて、戦前のような検閲は禁止されています。



いまの日本で、出版社の方々が自由に本を出すことができて、FeBeがオーディオブックをお届けできるということ。
その背景には、憲法がひろく認めた、出版の自由や、表現の自由があるのです。

本日オーディオブックをお聴きの方は、そんな憲法のことにも思いを寄せてみてくださいね。

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担当者 佐伯