こんにちは、ヒノハラです!
実は今年2014年、「あるもの」が地味にブームになっています。
それは……怪談!
でもなんで今さら怪談が……と思われるかもしれませんが、今年はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が和製ホラーの名作『怪談』を書いてから110年! 記念の年なのです。
それを記念して、『怪談』の続編(!)が出版されるなど、密かに怪談が盛り上がっているのです。
ところで、そもそも怪談は、 歌舞伎や噺などから生まれた文化です。
物語には様々なジャンルがありますが、成り立ちを考えると、怪談は「耳で聴く」のにもっとも向いているジャンルなのでは?と私は思っています。
そんなわけで、今日は、
「秋の静かな夜に聴きたい、怪談オーディオブック三選」を選んでみました!
1.「四谷怪談」
「お岩さん」の名前を出せば、きっと多くの方は「あれか」と思うでしょう。
「毒を盛られたお岩が、夫を呪い殺す」
一言でまとめてしまえば、そんなストーリー……なのですが、しかし!
この話の本当の魅力は、意外と知られていないのではないかと思います。
四谷怪談を語るときに、良く言われるのが、「本当に恐ろしいのは、人間なのではないか」という台詞。
これは「幽霊」の話である以上に、「人間」の業を描き出した作品なのです。
一見単純な怪談に見えますが、その裏では人々の想いが幾重にも交錯しており、 ただ「怖い」だけではない、哀しい物語が浮かび上がってきます。
ちなみに「四谷怪談」は日本三大怪談のひとつとされますが、 残り二作の「皿屋敷」「牡丹燈籠」も、意外と本当の物語は知られていません(「皿屋敷」だって、単に「一枚足りなーい」だけじゃないんですよ!)。 全部まとめたセットもありますので、どっぷり名作怪談の世界に浸りたい方にはオススメです。
2.「黒猫」
エドガー・アラン・ポーの名作短編。
可愛がっていた黒猫を酔っ払って殺してしまった男が、死んだ黒猫とそっくりな猫によって次第に追い詰めらていく……という物語。
これも、タイトルやあらすじは何となく知っている、という人は多いと思います。
この作品が日本でもポピュラーなのは、やはり「猫」というモチーフ、そして、
「じわじわと忍び寄ってくる恐怖」だと思います。
海外ホラーなのに、どこか和製怪談と似通った味わいがあるんですよね。
それも、オーディオブックで聞くと、「黒猫に追い詰められていく」心理的な切迫感がいっそう強まっていて、惹き込まれること請け合いです。
あの有名なラストシーンには、自分も聴いていて思わずぞくっとしました。
3.「雪女」
最後は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の代表作を。
「雪女」は、昔話の本などにもよく収録されているので、子供のころに読み聞かせてもらった……という思い出がある方もいるのではないでしょうか。
これも最初に紹介した「四谷怪談」同様に、ただの妖怪ものではありません。
今聞き直してみると、怪談というよりもむしろ、悲恋の物語であるように感じます。
言葉遣いはシンプル、登場人物も二人だけ。それでも、今なお多くの人を惹きつけてやまないのは、何度触れても新しい解釈ができる物語だからでしょう。
オーディオブックは、読み上げる人の感情が入るもの。そういう意味では、これも一つの「雪女」の解釈といえるかもしれません。
馴染みの物語を、少し違った視点で、またゆっくり味わってみませんか。
おわりに
今回ご紹介した三作品は、優れた怪談であると共に、歴史に残るような古典的名作です。
小説で読もうとするとややハードルが高いのは事実ですが、その点オーディオブックでは心情を込めて読み上げてくれるので、普通に文字で読むよりもわかりやすく、臨場感たっぷりに味わえると思いますよ。
オーディオブックというと「電車の中で聴く」「歩きながら聴く」という人が多いと思いますが、個人的には、「静かな夜に、一人で、きれいな日本語に耳を澄ます」という楽しみ方もオススメです!
この秋に、是非試してみてくださいね。
個人的に好きなホラー作家は三津田信三さん。
毎月読み返しています。