文章“も”見た目が9割?

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こんにちは。
三度のメシと同じくらい、
ラジオが好きなジンです。

ここ4年ほど、聴き続けている番組が、
『ラジオ版学問のススメ』。

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角田光代、沢木耕太郎、池澤夏樹、荒俣宏、三浦しをん、
柴田元幸、綿矢りさ、京極夏彦、玄侑宗久(敬称略)……など、
錚々たるゲストが、自身の近著や創作論について1時間ほど語る、
なかなか贅沢な番組です。
(ちなみに、過去8年分のバックナンバーは、こちらですべて
 聴くことができます)

文字の“並び”は侮れない

約1年前、
この番組のバックナンバーを聴いていたところ
内田樹さんと高橋源一郎さんがゲストで出ていて。

「文章って、見た目が大事! 良い文章はたいてい、
パッと見の文字の並びが良いんだよね!」

みたいな話で盛り上がっていました。

なぜ、突然こんな話題から
書き始めたのかというと……

約2週間前。

私がいるオトバンクという会社の
会長・上田渉がパーソナリティを務める、

『上田渉のこの人がおもしろい!』

というポッドキャスト番組に
道尾秀介さんが出演してくださったときのことです。

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私も裏方スタッフとして
収録現場に立ち会い、
番組のなかで道尾さんが

『ぼくはパソコンで(作品を)書くときに、
文字のフォントと組み方を単行本の形式に
合わせるんですよ。(中略)改行の場所とか
レイアウトとかも、読んだときにどんな印象を与えるかを
イメージしながら書いてるんです』

と語るのを聴きながら、
ふと、先ほど紹介した、
「文章は見た目が大事」話を思い出して。

そういえば、
道尾さんの『ラットマン』という作品には
印象的なレイアウトのページがあったよな、
なんてことも思い出し。
(気になる方は、この作品の11ページだけでも
 ぜひチェックしてみて!)

文章の「中身」とおなじくらい、
その「見た目」にも道尾さんは気をつかってらっしゃるんだなと
勝手に納得してしまいました。

文章の見た目への
こうした心くばりは、プロの作家さんであれば、
「当たり前」な話なのかもしれませんが、

道尾さんの声のトーンには、
他の作家さんとは少し異質な、
ビジュアル面へのこだわりを感じ取れたんです。

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道尾秀介と視覚芸術の関係

道尾さん独特のこだわりの源は
何なんだろう?

そんなことを思いながら、
収録後の数日をすごしていたのですが、またあるときにふと、
事前に読んだ、道尾さんの過去のインタビュー記事のことを思い出して。

たとえば……

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『「ルビンの壺」という絵がありますよね。
壺のようにも、向かい合う人間のようにも見える絵。
あれの、とびきり上等なやつを作りたいんです。
たとえば、ある方向から見ると○、別の方向から見ると一本の線に見える。
また別の方向から見ると女の人の怒った顔に見えて、
また別の方向から見ると男の人が泣いているようにも見える。
(中略)絵は二次元だから、そんなのありえませんけど、
活字ならそれができると思ったんです』
(『papyrus』2008年6月号のインタビューにて)

という発言があったり、

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『僕は絵が好きなんだけれど、
例えば墨絵に溌墨とか散墨と呼ばれる画法がある。
太い筆にたっぷり墨を染みこませて、散らしたり、
なめらかな動きをさせたりして、そのとき偶然できた濃淡を利用して
小筆で絵を仕上げる。雪舟なんかがやってた画法。
『ファミリーポートレイト』を読んだ時、あの画法を思い出して。
おそろしくダイナミックな下絵がまずあって、
それが最終的に一幅の繊細で美しい絵に仕上がっている』
(『新刊ニュース』2009年2月号 桜庭一樹氏との対談にて)

という発言があったり。
さらに、

『僕がすごく好きな佐藤忠良さんという彫刻家が
対談集の中で語っていた話があるんです。
ある人物の銅像を頼まれたときに、本人の顔から石こうで型をとって作ると
本物そっくりにできるけど、全然その人に見えないんだって。
(中略)でも、ちゃんとその人の来歴を勉強していろいろインタビューしてから
仕事にとりかかると、誰が見てもその人に見える銅像ができるんだとか』
(『すばる』2013年10月号 綿矢りさ氏との対談にて)

 とも語っていて。

これらの記事を読みながら、
道尾さんは、絵画や彫刻などの
視覚芸術から多くのインスピレーションを得るタイプの作家さん……
とまでは言い切れないにしても、少なくとも、
ビジュアルイメージをとても大切にしている方なんだろうな、
なんてことを思ったのでした。

最後に少し、無理やりこじつけると、
『上田渉のこの人がおもしろい!』のなかで道尾さんは、
写真家の鬼海弘雄への思いも語ってくれていました。
この話も、おもしろかった!

ちなみに今月の24日、
道尾さんは『緑色のうさぎの話』という絵本を出版されるそうです。

この記事のライター
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ジン
ただのラジオ好き。
ここ数ヶ月でショックだった出来事は、三谷幸喜と清水ミチコのラジオ番組『MAKING SENSE』が終わってしまったこと。おもに音声コンテンツまわりの記事を担当。
運営 株式会社オトバンク

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担当者 佐伯