こんにちは!
去年Kindleを買って以来、電子書籍にはまっているヒノハラです。
特に最近、読み漁っているのが、戦前の探偵小説!
戦前だからといってあなどるなかれ、驚愕の真相や切ないエンディングなど、現代でも全く見劣りしません。
そこで今回は、僕が独断と偏見で選ぶ、
【電子書籍で読める傑作短編ミステリアンソロジー】
を作ってみました!
しかも今回ご紹介するのは、
どれも無料で手に入る作品です。
一体どういうことかというと……
実はすべて、 著作権フリーの作品を公開しているインターネット上の図書館「青空文庫」に載っているものなんです。
しかも、青空文庫に収録されている作品のほとんどは、
Kindleやkoboストアでも無料で入手できるんです!
WEBで読むより圧倒的に読みやすいし、
有名な文豪の名作もたくさん。 これは、使わない手はありませんよ。
この無料短編ミステリーがすごい!
今回は、そんな青空文庫の中から5作品、
「切なさ」が印象に残る、名作短編ミステリを選出してみました!
それでは、早速ご紹介していきましょう。
1.「とむらい機関車」(大阪圭吉/著)
╋ あらすじ ━━━━━━━━━
日曜日ごとに繰り返される奇怪な轢死事件。
だが、その被害にあっていたのは、
人間ではなく豚だった。
犯人は一体何故、こんなことをしたのか?
前代未聞の動機が冴え渡る一編。
╋━━━━━━━━━━━━━━━
毎週決まって機関車に豚が轢かれる、
という非常に奇妙な事件。
この短編では、その後数多くのバリエーションが生まれた、
ある意外な動機が見どころです!
なぜか日本人は、この動機が好きなようで、
類似の真相のミステリは、 軒並み高い評価を受けています。
前代未聞の謎、突然明かされる衝撃的な真相、切ない余韻の残る幕切れ……。
ミステリのお手本にしたいような一編です。
2.「母子像」(久生十蘭/著)
╋ あらすじ ━━━━━━━━━
素行不良で検挙された16歳の少年。
おとなしく優等生でもあった彼は、
夜になると花売り娘に変身し、
朝鮮戦争帰りの米兵をバーに案内したり、
あげくにはビルに放火しようとしたという。
彼はどうしてそんな行動に出たのか?
╋━━━━━━━━━━━━━━━
優等生だった少年は、
なぜ非行に走ったのか?
……こう書くと、スケールの小さな謎に思えるかもしれません。
そんな一見大したことのない話が、
予想できない方向に転がっていく面白さ、それがこの短編の魅力です。
前半では、少年をとりまく大人たちの視点から、
後半では、当事者である少年の視点から、
「非行」の経緯が描かれるのですが、
終盤、少年の視点で語り直されるその動機に、
今まで見えていた光景が、ぐるっと反転する驚きを得られるでしょう。
読後、タイトルを見返すと、
悲劇的なエンディングと相まって、やりきれない思いに駆られます。
3.「アンゴウ」(坂口安吾/著)
╋ あらすじ ━━━━━━━━━
矢島が古本屋で見つけたのは、戦死した旧友の本だった。
懐かしさから購入して家に持ち帰ると、
本の間から、数字の書かれた紙が。
その“暗号”を解くと、
「いつもの処にいます七月五日午後三時」
というメッセージが浮かび上がってきたのだが……。
╋━━━━━━━━━━━━━━━
文豪・坂口安吾が手がけた、暗号ものの傑作。
このタイトルの率直さが、良いですよね。
ところが実際、この物語では、
「暗号を解く」こと自体は、
一切重要でも何でもありません。
(だって、読者には絶対解けないのですから!)
ポイントは、
「この暗号は、誰が、何のために残したのか」
という点にあります。
それが明らかになるラストシーンには、
坂口安吾の数ある短編の中でも、特に感動的な、
まさに「奇跡」と呼ぶのがふさわしい真実が待ち受けています。
4.「恋愛曲線」(小酒井不木/著)
╋ あらすじ ━━━━━━━━━
友人の実業家Aに恋人を奪われた青年医師。
そんな彼は、Aと恋人の結婚のために、
「恋愛曲線」
なる記念品を贈ろうという。
そうして彼は、「恋愛曲線」を完成させるために行った、
様々な動物実験の話を綴りはじめる……。
╋━━━━━━━━━━━━━━━
医学×ミステリというテーマで、
怪奇性あふれる作品を得意とした作家・小酒井不木。
そんな彼の特徴をよく表している一編です。
恋人を奪われた青年が、
恋敵に対して綴った手紙、というスタイルで進むこの作品。
焦点となるのは、
タイトルにある「恋愛曲線」とは何なのか
という謎です。
その意味は、徐々に明らかになるのですが、
この過程で綴られる、実験の描写が、とにかく不気味。
そんな血まみれの実験の果て、
ラスト1ページで明らかになる、恋愛曲線の本当の意味。
意外性たっぷりでありながら、哀しみに満ちた、
味わい深いどんでん返しを楽しんでください。
5.「死後の恋」(夢野久作/著)
╋ あらすじ ━━━━━━━━━
「ただきいてくだされば、いいのです。
そうして私がこれからお話しする恐ろしい「死後の恋」というものが、
実際にあり得ることを認めてくださればよろしいのです。」
ロシア革命直後のウラジオストクで、
通行人をつかまえては、そんな話を持ちかける一人の男。
彼が語り始めた「死後の恋」の物語とは……?
╋━━━━━━━━━━━━━━━
これも「恋愛曲線」同様、
男が語る「死後の恋」とは何なのか、
それが謎となって進む作品です。
「恋愛曲線」との共通項は他にもあります。
男性が聞き手に対して語りかける物語であること。
そして、何より、
哀しい恋の物語であること。
どこにも恋愛要素は見られないような物語ですが、
終盤で“ある意外な真実”が明らかになった途端、
この短編は、恋愛小説へと姿を変えます。
さらには、幻想小説、歴史小説など、様々な要素を備えており、
読み返すたびに、違った側面から楽しむことができます。
凄惨な光景の中にも、物悲しさや美しさを感じる一遍です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介した短編は、どれもとっておきのオススメ作品です。
「電子書籍で手に入る」と書きましたが、
もし電子書籍リーダーを持っていなくても、どれも青空文庫で読むことができます。
ミステリファンはもちろん、切ないストーリーがお好きな方はら、
絶対に読んで損はない名作揃いなので、ぜひ読んでみてくださいね!
ついにKindle本の積読が50冊を越えました。